赴くままに読書通信

大切に残しておきたいものを記録します。

『逆説の世界史②一神教のタブーと民族差別』伊沢元彦 序章①

序章「一神教の紀元」―地球人によって創られたという「仮説」

仏教との比較で見えてくる一神教の特徴

世界三大宗教」=仏教キリスト教イスラム

特にキリスト教徒は約21億人いるとされており、地球人類の約3人に1人キリスト教

儒教ヒンドゥー教は信者がユダヤ教のように基本的に特定の地域に限定されている民族宗教であるのに対し、この3つは民族を超えて世界中に広がっている世界宗教

 

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世界の3大宗教、その1「宗教の分布」 ( その他音楽 ) - 鹿児島の中年ドクター徘徊日記! - Yahoo!ブログ

 

仏教キリスト教(およびイスラム教)の相違点

仏教

複数の神(正確には仏陀)を認める宗教

 

キリスト教イスラム教】

原則としてたった1つの神しか認めない一神教

 ※信者を合算すると30億人を超え、地球人類の約2人に1人は一神教の信者となる

 

本書の内容

一神教の代表であるユダヤ教キリスト教イスラム教の世界の歴史を取り上げる

→人類の歴史つまり世界史を探求するには、一神教がどのようにして誕生し発展し定着したかを綿密に分析し考察する必要がある

★Point

一神教が神ではなく知的生命体自身によって創られたものだとすると、

・なぜ神が1つになったのか?

・その思考形態を歴史上の事実経過によって辿れないだろうか?

★How to

一神教の特徴を明確にするため、一神教ではない世界宗教仏教と比較する

 

仏教とは何か?

仏教の開祖:釈迦

釈迦は部族名釈迦族の聖者を意味する「釈迦牟尼(シャカムニ)」が略され通称となった(本名はゴータマ・シッダッタ

→現在は実在が証明されている。通説では紀元前5世紀に現在のネパール国の領域で生まれ、修行の結果、隣国のインドにおいて仏教における超越者である「仏陀」となったとされている

 

 

◇釈迦の教えの内容とは?「仏陀となる」とはどういう意味か?

 

釈迦は当時のインド人に広く信じられており、後にヒンドゥー教根本主義ともなった「人は輪廻転生する」という考えをそのまま受け入れた

 ※輪廻=人間の生命は消滅しないということ。死んでも何らかの形で別の生命体に生まれ変わる

次の「生」を決定づける要因として、

・生前に良い行いをした者は高貴な者に生まれ変わる

・悪行を行ったものは下等な生命体に生まれ変わる

という考え方(後に「道徳」として結びつけられる)に発展していく

 ※現世において王家や貴族の家に生まれた者は前世における行動が正しかったことになり、身分の低い家に生まれた者や生まれつき障碍を持つ者などは前世にお家の生き方に何か問題があったということになる

現世における身分秩序は絶対に崩してはいけないことに

→これを社会制度として固定させたものが「カースト制度」

 

釈迦以降、仏教はこうした輪廻転生論を採用し、輪廻転生の苦しみの中からいかにして解放されるかを最大の宗教的課題とした

*輪廻転生、つまり人間の生命が永遠に消滅しないという「事実」を苦しみとして捉えた 

 ※中国に仏教が最初に伝わった時、中国人は人生の幸福は「長寿を保ち現世を謳歌すること」と捉えていたので、仏教によって「現世における死が自己の消滅でない」と教えられ、それを喜々として受け入れた

 

苦の本質は人間の思う通りにコントロールができないこと

【生老病死(しょうろうびょうし)】※四苦とも言う

・生まれることの苦しみ

・老いることの苦しみ

・病の苦しみ

・死ぬことの苦しみ

【生老病死をさらに具体化したもの】

愛別離苦(あいべつりく)=愛するものと別れること

・怨憎会苦(おんぞうえく)=自分にとって害を及ぼす敵に会うこと

・求不得苦(ぐふとくく)=欲しいものが得られないこと

五蘊盛苦(ごうんじょうく)=五蘊(人間の肉体および精神)が思うがままにならないこと

→現世の生が終わっても、この苦しみから逃れられず、次の生で同じことが繰り返され、苦は永遠に続く

 

では、どうしたら苦から脱却できるか?

→その脱却を仏教では「解脱」と呼んだ

 ※解脱=輪廻のサイクルから脱出すること

*解脱に成功した人間のことを「仏陀」と呼ぶようになった

 

生の苦しみは絶対に永遠ではないはずの現世の生に執着し、一年でも二年でも長く生きようとするから生まれる

→そもそもこの世の中に永遠不変のものはなく、物体であれ、現象であれ、永遠不変のものはなく、常に移り変わる(諸行無常

*このことを絶対の真理として認識すること、つまり悟ることが仏陀への道となる

 ※「すべてのものが永遠不変であること」と「輪廻転生」は矛盾しているかのように見えるが、後の仏教者は根本的には「我ではなく識が存在する」という「唯識」の形でこの問題に答えている

 

まとめ

仏教のアウトラインを語ったことにより、一神教の特徴が浮かび上がった

→「世界や人間を誰が創ったか」という問いに答えているということ

 

『逆説の世界史②一神教のタブーと民族差別』序章① おわり

 

逆説の世界史 2 一神教のタブーと民族差別